@IDX:11000
@OFF:0xeb
@SPK:
@JPN:　………………。
@ENG:

@IDX:11001
@OFF:0x11d
@SPK:
@JPN:　…………。
@ENG:

@IDX:11002
@OFF:0x14b
@SPK:
@JPN:　……。
@ENG:

@IDX:11003
@OFF:0x1d3
@SPK:
@JPN:　……ゆっくりと瞼を開ける。
@ENG:

@IDX:11004
@OFF:0x1fd
@SPK:
@JPN:　クーラーのモーター音が低く響いている。
@ENG:

@IDX:11005
@OFF:0x233
@SPK:
@JPN:　時計を見る。
@ENG:

@IDX:11006
@OFF:0x24f
@SPK:
@JPN:　６時半。
@ENG:

@IDX:11007
@OFF:0x267
@SPK:
@JPN:　まだボーッとしていても平気だ。
@ENG:

@IDX:11008
@OFF:0x2a5
@SPK:
@JPN:　ゴ、ゴゴ……、ゴ……。
@ENG:

@IDX:11009
@OFF:0x2cb
@SPK:
@JPN:　………………。
@ENG:

@IDX:11010
@OFF:0x2e9
@SPK:
@JPN:　突然部屋の中が静寂で満たされる。
@ENG:

@IDX:11011
@OFF:0x319
@SPK:
@JPN:　途端に耳につき始める蝉の声。
@ENG:

@IDX:11012
@OFF:0x345
@SPK:
@JPN:　時を刻む針の音。
@ENG:

@IDX:11013
@OFF:0x375
@SPK:
@JPN:　徐々に上がっていく室温。
@ENG:

@IDX:11014
@OFF:0x39d
@SPK:
@JPN:　締め切った窓がそれまでとは逆の立場になり、俺の　精神を蝕み始める。
@ENG:

@IDX:11015
@OFF:0x3ef
@SPK:
@JPN:　……壊れたのか。
@ENG:

@IDX:11016
@OFF:0x40f
@SPK:
@JPN:　クーラー……。
@ENG:

@IDX:11017
@OFF:0x459
@SPK:
@JPN:　またメモ帳が光ったがどうでもいい。
@ENG:

@IDX:11018
@OFF:0x48b
@SPK:
@JPN:　俺の最大の関心は夏の友、クーラーの状況だ。
@ENG:

@IDX:11019
@OFF:0x4c5
@SPK:
@JPN:　本当に死んだのか？
@ENG:

@IDX:11020
@OFF:0x4e7
@SPK:
@JPN:　一時的な沈黙じゃないのか？
@ENG:

@IDX:11021
@OFF:0x511
@SPK:
@JPN:　あれこれと考えている間にも、どんどん室温は上昇　していく。
@ENG:

@IDX:11022
@OFF:0x573
@SPK:
@JPN:　ちょっと待て。
@ENG:

@IDX:11023
@OFF:0x591
@SPK:
@JPN:　少し異常じゃないか？
@ENG:

@IDX:11024
@OFF:0x5b5
@SPK:
@JPN:　いくら夏だからって、この暑さは異常だ。
@ENG:

@IDX:11025
@OFF:0x5eb
@SPK:
@JPN:　よーく耳を澄ませてみる。
@ENG:

@IDX:11026
@OFF:0x625
@SPK:
@JPN:　ゴイン、ゴイン、ゴイン。
@ENG:

@IDX:11027
@OFF:0x64d
@SPK:
@JPN:　いつの間にか、低いモーター音が復活している。
@ENG:

@IDX:11028
@OFF:0x689
@SPK:
@JPN:　そうか、クーラーのやつ、死んでなかったんだな。　
@ENG:

@IDX:11029
@OFF:0x6db
@SPK:
@JPN:　…………待てよ。
@ENG:

@IDX:11030
@OFF:0x6fb
@SPK:
@JPN:　じゃあ、この暑さはなんだ？
@ENG:

@IDX:11031
@OFF:0x725
@SPK:
@JPN:　まさか！
@ENG:

@IDX:11032
@OFF:0x74f
@SPK:
@JPN:　ガバッと起き上がり、送風口に手をかざす。
@ENG:

@IDX:11033
@OFF:0x787
@SPK:
@JPN:　…………。
@ENG:

@IDX:11034
@OFF:0x7a1
@SPK:
@JPN:　やっぱり。
@ENG:

@IDX:11035
@OFF:0x7cf
@SPK:
@JPN:　そこから出ていたのは、灼熱の吐息だった。
@ENG:

@IDX:11036
@OFF:0x819
@SPK:
@JPN:　だーーーーーーー！
@ENG:

@IDX:11037
@OFF:0x83b
@SPK:
@JPN:　裏切り物めっ！！！
@ENG:

@IDX:11038
@OFF:0x86b
@SPK:
@JPN:　俺はバシッと、クーラー改めヒーターのリモコンを　手に取り、ピピッとスイッチを切った。
@ENG:

@IDX:11039
@OFF:0x8cf
@SPK:
@JPN:　ゴイーン。
@ENG:

@IDX:11040
@OFF:0x8e9
@SPK:
@JPN:　相変わらず鳴り響き続ける低いモーター音。
@ENG:

@IDX:11041
@OFF:0x921
@SPK:
@JPN:　そして、上昇し続ける室温。
@ENG:

@IDX:11042
@OFF:0x94b
@SPK:
@JPN:　俺の額から流れ出した汗が、ポタリと畳に落ちる。　
@ENG:

@IDX:11043
@OFF:0x99d
@SPK:
@JPN:　クーラー改めヒーターは死んでいなかった。
@ENG:

@IDX:11044
@OFF:0x9d5
@SPK:
@JPN:　ただ……狂っただけだった。
@ENG:

@IDX:11045
@OFF:0xa13
@SPK:
@JPN:　……って、冷静になんかなってる場合か！
@ENG:

@IDX:11046
@OFF:0xa5b
@SPK:
@JPN:　ガララっと窓を開く。
@ENG:

@IDX:11047
@OFF:0xa7f
@SPK:
@JPN:　夏の風が俺の部屋に吹き込んでくる。
@ENG:

@IDX:11048
@OFF:0xab1
@SPK:
@JPN:　ようやく人心地つく。
@ENG:

@IDX:11049
@OFF:0xaef
@SPK:
@JPN:　ふう。
@ENG:

@IDX:11050
@OFF:0xb05
@SPK:
@JPN:　一時はどうなることかと思ったぜ。
@ENG:

@IDX:11051
@OFF:0xb35
@SPK:
@JPN:　……って、待てよ。
@ENG:

@IDX:11052
@OFF:0xb67
@SPK:
@JPN:　ゴイーンと鳴り続けるモーター音。
@ENG:

@IDX:11053
@OFF:0xb97
@SPK:
@JPN:　別に暖房が止まったわけではない。
@ENG:

@IDX:11054
@OFF:0xbc7
@SPK:
@JPN:　……っていうか、こういうタイプのエアコンって、　リモコンがぶっ壊れたらどうやって止めるんだ？
@ENG:

@IDX:11055
@OFF:0xc33
@SPK:
@JPN:　…………分からん。
@ENG:

@IDX:11056
@OFF:0xc61
@SPK:
@JPN:　とりあえず全景を眺めてみる。
@ENG:

@IDX:11057
@OFF:0xc8d
@SPK:
@JPN:　本体にボタンがついているような様子はない。
@ENG:

@IDX:11058
@OFF:0xcc7
@SPK:
@JPN:　メインスイッチのようなものも見当たらない。
@ENG:

@IDX:11059
@OFF:0xd01
@SPK:
@JPN:　あのホースは……外に繋がってるのか。
@ENG:

@IDX:11060
@OFF:0xd35
@SPK:
@JPN:　じゃあ、コンセントは……。
@ENG:

@IDX:11061
@OFF:0xd5f
@SPK:
@JPN:　…………？
@ENG:

@IDX:11062
@OFF:0xd79
@SPK:
@JPN:　エアコンの電源って、どこから取ってるんだ？
@ENG:

@IDX:11063
@OFF:0xdb3
@SPK:
@JPN:　…………分からん。
@ENG:

@IDX:11064
@OFF:0xde9
@SPK:
@JPN:　ブレーカーを落とすしかないか。
@ENG:

@IDX:11065
@OFF:0xe82
@SPK:
@JPN:　外に出てブレーカーを落とす。
@ENG:

@IDX:11066
@OFF:0xeae
@SPK:
@JPN:　これは俺の部屋でしかできないオリジナル技。
@ENG:

@IDX:11067
@OFF:0xee8
@SPK:
@JPN:　なぜって？
@ENG:

@IDX:11068
@OFF:0xf02
@SPK:
@JPN:　それは……。
@ENG:

@IDX:11069
@OFF:0xf1e
@SPK:
@JPN:　俺の部屋には冷蔵庫がないからだ。
@ENG:

@IDX:11070
@OFF:0xfba
@SPK:
@JPN:　エアコンと戯れていたせいで、いつの間にかかなり　時間が経ってしまっていた。
@ENG:

@IDX:11071
@OFF:0x1014
@SPK:
@JPN:　そろそろ出ないとバイトに遅れてしまう。
@ENG:

@IDX:11072
@OFF:0x105c
@SPK:
@JPN:　動き出した俺の目に、メモ帳が留まった。
@ENG:

@IDX:11073
@OFF:0x1092
@SPK:
@JPN:　そう言えばさっき光ってたな。
@ENG:

@IDX:11074
@OFF:0x10be
@SPK:
@JPN:　また何か書き込みが増えてるのか？
@ENG:

@IDX:11075
@OFF:0x1100
@SPK:
@JPN:　パラッとめくってみる。
@ENG:

@IDX:11076
@OFF:0x1126
@SPK:
@JPN:　最初のページにはいつもと同じ文字。
@ENG:

@IDX:11077
@OFF:0x116a
@SPK:
@JPN:　『光と共に可能性が記される。
@ENG:

@IDX:11078
@OFF:0x1196
@SPK:
@JPN:　　望むものを破り取れ。
@ENG:

@IDX:11079
@OFF:0x11bc
@SPK:
@JPN:　　破り去りし時、新しい世界への扉が開く』
@ENG:

@IDX:11080
@OFF:0x1206
@SPK:
@JPN:　新しい世界なんてどうでもいい、新しいクーラーを　くれ。
@ENG:

@IDX:11081
@OFF:0x1260
@SPK:
@JPN:　ブチブチ言いながらページを繰っていく。
@ENG:

@IDX:11082
@OFF:0x12aa
@SPK:
@JPN:　あ、あった。
@ENG:

@IDX:11083
@OFF:0x12d4
@SPK:
@JPN:　昨日まではなかった書き込み。
@ENG:

@IDX:11084
@OFF:0x1300
@SPK:
@JPN:　そして、唯一の書き込み。
@ENG:

@IDX:11085
@OFF:0x1328
@SPK:
@JPN:　書き込みはメモを閉じるといつも消えてしまう。
@ENG:

@IDX:11086
@OFF:0x1364
@SPK:
@JPN:　次に開いた時には、ただ真っ白なページが続いてい　るだけ。
@ENG:

@IDX:11087
@OFF:0x13ac
@SPK:
@JPN:　どういうメカニズムなんだ、これ？
@ENG:

@IDX:11088
@OFF:0x13dc
@SPK:
@JPN:　スパイ手帳みたいなもんか？
@ENG:

@IDX:11089
@OFF:0x1418
@SPK:
@JPN:　まあ、考えていても分かるわけがない。
@ENG:

@IDX:11090
@OFF:0x144c
@SPK:
@JPN:　とりあえず新しい書き込みを確認するか。
@ENG:

@IDX:11091
@OFF:0x1496
@SPK:
@JPN:　　　　　　　　　『ゲーム』
@ENG:

@IDX:11092
@OFF:0x14d2
@SPK:
@JPN:　は？
@ENG:

@IDX:11093
@OFF:0x14e6
@SPK:
@JPN:　なんなんだ？
@ENG:

@IDX:11094
@OFF:0x1502
@SPK:
@JPN:　『ゲーム』だけじゃ何のことかさっぱりだ。
@ENG:

@IDX:11095
@OFF:0x154e
@SPK:
@JPN:　で、どうする？　破ってみるのか？
@ENG:

@IDX:11096
@OFF:0x1592
@SPK:
@JPN:俺はゲーマーだ
@ENG:

@IDX:11097
@OFF:0x15a7
@SPK:
@JPN:ゲームなんてヲタクのすることだ
@ENG:

@IDX:11098
@OFF:0x1604
@SPK:
@JPN:　そうだよな。
@ENG:

@IDX:11099
@OFF:0x1620
@SPK:
@JPN:　『ゲーム』と聞いたら黙ってられないよな。
@ENG:

@IDX:11100
@OFF:0x1658
@SPK:
@JPN:　それじゃ、早速試してみっか。
@ENG:

@IDX:11101
@OFF:0x16a4
@SPK:
@JPN:　メモ用紙を破り取る。
@ENG:

@IDX:11102
@OFF:0x16c8
@SPK:
@JPN:　…………。
@ENG:

@IDX:11103
@OFF:0x16f2
@SPK:
@JPN:　あん？
@ENG:

@IDX:11104
@OFF:0x1708
@SPK:
@JPN:　何にも起きないじゃないか。
@ENG:

@IDX:11105
@OFF:0x1732
@SPK:
@JPN:　…………。
@ENG:

@IDX:11106
@OFF:0x174c
@SPK:
@JPN:　やっぱりこんなのインチキ……？
@ENG:

@IDX:11107
@OFF:0x17ed
@SPK:
@JPN:　き、来た！
@ENG:

@IDX:11108
@OFF:0x1807
@SPK:
@JPN:　これが新しい世界への扉ってやつか？
@ENG:

@IDX:11109
@OFF:0x1839
@SPK:
@JPN:　あ、あれ？　な、なんだか……ねむく……なってき　……た……。
@ENG:

@IDX:11110
@OFF:0x1895
@SPK:
@JPN:　だ、ダメだ……。
@ENG:

@IDX:11111
@OFF:0x18b5
@SPK:
@JPN:　もう意識を保ってられない……。
@ENG:

@IDX:11112
@OFF:0x18e3
@SPK:
@JPN:　こ、これで、新しい……世界に……いけるの……か　……？
@ENG:

@IDX:11113
@OFF:0x198f
@SPK:
@JPN:　そうだ。
@ENG:

@IDX:11114
@OFF:0x19a7
@SPK:
@JPN:　俺は勤労浪人生。
@ENG:

@IDX:11115
@OFF:0x19c7
@SPK:
@JPN:　ゲームなんて言葉に惹かれるほど暇じゃない。
@ENG:

@IDX:11116
@OFF:0x1a01
@SPK:
@JPN:　そんな暇があるんなら寝てた方がマシだ。
@ENG:

@IDX:11117
@OFF:0x1a41
@SPK:
@JPN:　寝る子は育つ。
@ENG:

@IDX:11118
@OFF:0x1a5f
@SPK:
@JPN:　果報は寝て待て。
@ENG:

@IDX:11119
@OFF:0x1a7f
@SPK:
@JPN:　眠れる獅子。
@ENG:

@IDX:11120
@OFF:0x1a9b
@SPK:
@JPN:　眠れる森の美女。
@ENG:

@IDX:11121
@OFF:0x1abb
@SPK:
@JPN:　眠狂四郎。
@ENG:

@IDX:11122
@OFF:0x1ad5
@SPK:
@JPN:　三年寝太郎。
@ENG:

@IDX:11123
@OFF:0x1af1
@SPK:
@JPN:　寝小便。
@ENG:

@IDX:11124
@OFF:0x1b09
@SPK:
@JPN:　夜尿症。
@ENG:

@IDX:11125
@OFF:0x1b21
@SPK:
@JPN:　寝た子を起こすな。
@ENG:

@IDX:11126
@OFF:0x1b43
@SPK:
@JPN:　この車には赤ちゃんが乗っています。
@ENG:

@IDX:11127
@OFF:0x1b87
@SPK:
@JPN:　…………。
@ENG:

@IDX:11128
@OFF:0x1ba1
@SPK:
@JPN:　ん？
@ENG:

@IDX:11129
@OFF:0x1bb5
@SPK:
@JPN:　だいぶかけ離れてきたみたいだな。
@ENG:

@IDX:11130
@OFF:0x1bf5
@SPK:
@JPN:　とにかく俺にはゲームをやってる暇はない。
@ENG:

@IDX:11131
@OFF:0x1c2d
@SPK:
@JPN:　……って言うか、もうバイトの時間じゃん。
@ENG:

@IDX:11132
@OFF:0x1c65
@SPK:
@JPN:　途中で事務局に寄って、クーラーを直してくれって　言っておかなきゃいけないのに。
@ENG:

@IDX:11133
@OFF:0x1cc3
@SPK:
@JPN:　……あ、帰りでもいいのか。
@ENG:

